夕方、店を閉めようとしてると、H女史からケータイにTel。
「もしもし−、あたし」
「何?久しぶりやん」
H女史とは、いつもこうだ。
1,2年何の音沙汰も無かったりするくせに、突然家にやってきて酒を飲んで馬鹿話してみたり…。で、またしばらく音信不通なんだよね。
「あのな、ごっつ、しょーもない用事なんやけど」
「うん」
「あたしの好きな作家って誰やったっけ?」
…そんなん知るか。ボケとんか?
「え。何やて?」
「ほらほら、『自殺のススメ』とか、書を捨ててなんたら、とか…」
…気が付いた!
この時点でわかってたのだが、面白いので少しイチビってみることに。
「えーと、その人、脚本とか俳句なんかもしてへん?」
「してる、してる!その人、その人!」
「劇団持ってて、唐十郎とかの同世代で…」
「それっ、それっ!まさにそれっ!」
「『天井桟敷』やったかなー。東北出身で訛ってんだよね」
「もー絶対それ!はがいぃー!」
「僕は演劇とか小説とか映画も色々やってて僕の本業は何だといろんな人が聞くけどあえて今僕の職業はと言えば…」←(モノ真似中/ブツブツ呟くような東北訛り)
「あははー。妙に上手いやん」
「…僕の職業は、寺山修司なんだよね」
「やったー、わかったー!」
電話の向こうで、きっとガッツポーズしてるに違いない。
「お役に立てました?」
「森やんなら、きっとわかると思とったんよ」
「あいあい。いつでもどーぞ」
「ありがとね。ほなね」
ープチッー
…半年ぶりに連絡してきて、この有様。
でも、僕はH女史のこーゆー放ったらかしの性格が大好きなのだ。
※H女史は、20数年来の僕の腐れ縁な男(こいつもこいつで、かなりファンキーな野郎なのだが)の元ヨメ。現在、小学生の娘と母子家庭続行中(のハズ/いかんせん連絡しないからわからない)。自称『前向きな悲観主義者』らしーが、なかなかどーして、けっこー世間にケツまくってあっからかんと生きている素敵な女性なのだ。
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