少額訴訟で裁判所に出廷してきた。
卸先が何度請求しても支払わないから、訴状提出してたのだ。
この会社、何回「いつになったら払ってくれるんですか?」と電話しても毎回「○日に払います」って言ったきり支払わない。何の連絡もなしで。もう5回もそんなことが続いたので、僕も堪忍袋の緒が切れたのだ。
広島本社から高松地裁に呼び出されてやんの。だから言うたやん。「訴訟になると、いらんお金がかかるよ」って。
訴状を提出したことは何度もあったけど、法廷に出廷するのは初めて。裁判官と書記官をはさんで円卓に座る。少しワクワクしたりして。
答弁書では“分割払いで和解”を希望してたから、まぁ商売きびしいんなら、それでもええか、と思ってたんだけど、口頭弁論で相手方、いきなり「和牛ヒレが¥10000/kgって、無茶苦茶な値段…」などと和解を希望してる被告の立場でありながら、原告の僕を非難し始めやがった。
なんじゃい、その態度は。まず最初に「ごめんなさい」だろ?
コヤツ、あやまる気なんてサラサラないらしい。
そっちがその気なら、言うたろか?
言うだけ言わせといて反論開始。
「あんたね、和解を希望しとんやろ?ケンカ売りに来たんなら、判決言い渡してもらおか?そしたら“ただちに支払え”なるよ。今ここであんたの給料から差し押さえも出来るんよ。少額裁判は上告もできひんし」
「ボックスミートで一本まるごと買うても、まっとうな和牛のヒレなら¥5000〜¥7000/kgが相場ですよ。それを整形、筋引きして歩留まりを考えたらいくらなると思てんの?それも一本単位やなしに、130gを5枚とか10枚ゆー注文やないの。あんた社長さんか知らんけど、包丁持ったことないやろ?」
「よしんばそれが高いとしても、高いと思うたら、買わなええやん。証拠で提出した納品書には全部単価記載してるよ。支払無しで、3ヶ月も納品させといて、高いから払わん、では通りませんよ」
「しかし当店の“和牛ステーキ御膳”は¥1500で肉の仕入値が¥1300では常識的に考えて…会社はそんな仕入れを認めてない。」<相手方
こいつは阿呆か?そんなん僕の知ったことやない。
「それはあんたの会社の店長なり調理長の責任で、僕がメニューや利益率を考えとるんやないやんか。あんたの部下に怒ったらええ。そんなことを僕に言うてどうせえと言うんや?言うたら、あんたの社員管理ミスやないの?」
「あのな、あんたのやったことは“食い逃げ”なんよ。しかもメニューにはちゃあんと値段書いてる料理を『後で払うから』言うて3ヶ月も食べ続けて。そんで『そろそろ払うてくれ』言われたら『高すぎて払えへん』て。で、僕に『高うて払えんのやったら、3ヶ月も続けて“ツケ”で食うな』って言われたら、『それは女房や息子が食うた分やから、ワシは知らん』ってダンナが開き直ってるのと一緒やで。わかります?」
「しかし、それにしても法外な…」<相手方
「よっしゃ、わかった。牛肉の基礎知識もないのにプロに対していちゃもんつけて、責任逃れしたかった、と。あくまで僕に対して「あんたも悪いやん」って言いたいワケね。そこまで言うんなら、裁判官に判決出してもらおやないの。僕は同じ商売人として和解に応じてもええと思てたけど、あんまりナメたこと言うてるし、反省の色も見えへんようやし。…しゃーないな」
少額裁判は一回の審議で結審する。判決の微妙な裁判は受理されないと言うこと。“絶対勝つ裁判”だから、僕は強気なんだよね。
「まあまあ、落ち着いてください、森山さん。…(相手方に振り向いて)あなたも“和解をお願いにきてる被告”の立場なのだから、よけいな事は言わないほうがいいですよ。森山さんが判決を希望するなら、私は立場上、あなたに「ただちに支払え」という判決を下すことになりますよ。悪いことは言わないから、もう黙りなさい。反省してますか?」<裁判官
「…はい、わかりました」<相手方
(裁判官に諭されて、いきなりショボくれてやんの/笑)
「森山さん、どうしますか?和解の方が回収率は高い、とも言われてますし、和解調停書の不履行は法的に強制執行(差し押さえ)の根拠となります。森山さんが判決を望むなら私が判決を下します。私が下した判決には双方とも無条件に従ってもらいますが…」
要するに判決でも和解でも、支払が滞れば強制執行。回収が早いか遅いか、の違いということ。ただし判決で“ただちに支払え”となっても、被告側に支払能力がない、と裁判所が判断すれば、「このくらいでこらえてやれよ」とゆーケースもある。判決だと回収は早いが、債権が目減りする可能性もあるわけだ。
和解の腹づもりは決まってたんだけど、最後に一言。
「反省してます?」<僕
「…はい。」
「それで?」<僕
(ここで初めて相手方を睨みつける)
「…申し訳ありませんでした」
(消え入りそうな声で)
完全勝利。
うけけー、ナメんじゃねーぞ、コノヤロウ。
僕を相手に踏み倒せるとでも思っていたか?
(きっとこの人、そんなふうにして何回か“いい思い”してたんだろね)
僕は未収金を放置するようなことは絶対しない。
それは万引きを見逃すのと同じこと。
ちゃんとお支払いをしていただいているお客様に対して大変失礼な行為なのだ。 |